エピソード8
 今日は久し振りに、弁護士と、ケースの進行具合についてミーティングを持つ事が出来た。


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 ディーンのオフィスに通されて、どうにも臍の落ち着きの悪い深々としたクライアント用の椅子に腰を下ろすと、開口一番、先日からティファニーが進めてくれていたVAWAのビザの申請が、やっと移民局に承認されたという嬉しい報告を聞いた。
これからは、グリンカードと労働許可証の申請に取り掛かって行くという。
これで私の身の置き所にも一つの区切りが着いたようで、ほんの少しほっとした。

しかし、まだまだ道のりは遠い。
何といっても最終のゴールにあるのは、このアメリカの永住権、『グリンカード』の取得である。これを取らない内には、仕事をするのにもいちいち、移民局に、労働許可証明なる物をまた別に申請しなければいけない。
このアメリカのお役所仕事の事、これからのプロセスにいったいどれだけの時間がかかって行くのか‥。

基本的に、会社にかかってきた電話を、なるべく自分の責任から遠い所にたらい回しにするのがアメリカ人だと思っている。
何しろ、今いるアパートメントを紹介してくれた日本人エージェントの口癖が、『なにせ、アメリカ人のする事ですから。』‥うーん。
まだまだ道のりは果てしなく、遥か遠くの彼方まで続いて行く予感がする。

「今年の終わりまでには、労働許可証がおりればいいね。」

焦る心を見すこすように、ふいにディーンがニッコリ笑って言った。
なんとも『頼もしい』お言葉である。とほほ‥。

まあ、何はともあれ、とにかくここでVAWAが無事承認されたということは、このサンフランシスコ生活の中に刻むとても大きな第一歩となった。ディーンのちょび髭顔に飛び付いてキスなんかしちゃうのは遠慮しておくにしても、今は、スキップしながらオフィス中を駆け回りたい気分だ!

 

 一通りビザの話を終えると、今度はおまけのキャンディーをくれるように、ディーンが手に持ったファイルの中から一枚の書類を取り出した。

「サプラーイズ!」

ふざけた調子で彼から手渡された書類に目を通してみると、それは判事のサイン入りの、正式な離婚の証明書だった。ブログ, エッセイ, シングルマザー, 海外生活, 人気のブログ, 注目のブログ, 話題のエッセイ, カリフォルニア生活, アメリカ生活, ノンフィクション, 現代画家, 人気, アーティスト, サンフランシスコ, フェースブック話題の人, 話題の人, 海外の日本人アーティスト, 離婚, アメリカで離婚

暫く前のコートでは、フレッドが『アノーメント』ー結婚の事実を取り消す申請ーを出していた。『この結婚については、自分はこの日本女性に騙されたような物で、これは無効にするべきだ‥うんぬんかんぬん。』

しかし、当然そんなお馬鹿で自分勝手な言い分がこのアメリカ版桜吹雪の下で通る筈もなく、そんな彼の申請は、その場で呆れ顔をした判事から、思いっきりの却下を食らっていた。

‥と、ここまでは、裁判の成り行きも何とか把握が出来ていた。

しかし、それから後の離婚の審議に入ってくると、早口の英語で専門用語が飛び交う中、正直言って、私にはもはや何が何だかさっぱりついて行く事が出来なかった。
コートがお開きになった後も、次のクライアントとのミーティングに向けてピリピリバタバタしているディーンに、暢気に説明なんぞをお願い出来る雰囲気ではなく、結局、その日はうやむやのままコートを後にした次第だった。

本来、カリフォルニアの法律によると、一旦離婚を申請してから完全に離婚が成立するまでには、六ヶ月の据え置き期間が置かれるという。
気軽に結婚離婚を繰り替えす直情型のアメリカ人。途中で気が変わってまたくっ付いちゃうなんてこともままあるようで、それをまた、『いちいちコートで相手なんてしてられないよ』といった所のシステムだったりするのだろう。
私も、このフレッドとの離婚についてはまだまだ時間がかかる物だと、少々ダークな気分になっていた。

しかし、寝耳に水で飛び込んできたこの嬉しいお知らせ。さっきのスキップに加えて『バンザイ三唱』もおまけに付けたい気分である。

どうやら私の場合、この『六ヶ月の据え置き期間』の中には、結局、シェルターに逃げていた期間などもカウントされていたようだ。
思いもかけず、晴れてひとり身に戻った私。世界中の自由をこの手に掴み、空にも飛んで行けそうだ。

 

 アパートメントに戻ると、早速この報告をクリスにメールした。今ではもう彼も、すっかりわたしの生活の中にいる。
相変わらずの殺人的なスケジュールの中では、普通の恋人たちのように、それ程頻繁に顔を合わす事は出来ないのだけれど、しかし、たまーに気が向けば、‥と言うより、『仕事の帰りに余力があれば』、シフト明けのその足で、部屋に立ち寄って行くようになった。

最近のクリスは、私が作る『シャパニーズフード』が痛くお気に入りのご様子だ。
箸の使い方もなかなかサマになって来た。

卵焼きや肉じゃがなど、何でもない日本のお惣菜にいちいち感動し、『これは何?』と珍しそうに、青い瞳をクルクルさせながら聞いて来る。そしてまた、その先入観の無い異食文化に対する興味からは、ブログ, エッセイ, シングルマザー, 海外生活, 人気のブログ, 注目のブログ, 話題のエッセイ, カリフォルニア生活, アメリカ生活, ノンフィクション, 現代画家, 人気, アーティスト, サンフランシスコ, フェースブック話題の人, 話題の人, 海外の日本人アーティスト, 坂井浩子, ひろこ, hiroko sakai, hiroko, 日本食, 日本料理, ソバ, 食卓今までこちらが思ってもみなかった独創的なアイデアが飛び出して来るから面白い。

緑茶には必ず砂糖を入れる。ご飯はおかずと食べる物じゃなくてマヨネーズと醤油をかけるとそれで立派な一品扱い。スティックサラダだろうが餃子だろうが、何にでも取り合えず海苔を巻いてみる‥等々。
これがまた真似してみると、なかなかイケてしまったりもする。

しかし、そんな彼の『お気に入り』の中でも、ぜひ止めておきたい物は一つある。それは、オカカのおにぎりを、ドロドロになるまで紅葉おろしを加えたポン酢にたっぷり浸して食べる事。
見ているだけで高血圧に魘される。うーん。

 

 今日Eメールを受け取ると、早速クリスは仕事の帰りに寄ってくれた。
離婚のニュースに思いがけずご機嫌よろしく、『これで、一つの壁が消えたね。』なんて、ニッコリ笑って言ってくれた。

ふーん‥。少しは気にしてくれてたんだ。
真直ぐな瞳に心がほかほかあったかくなった。

 

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[2012/03/27 08:33] | エピソード | トラックバック:(0) | コメント:(2) | page top↑
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コメント:
こんにちは。

イギリスにも離婚据え置き時間があって、最短で離婚成立まで6ヶ月かかります。日本で離婚申請を即受理された身としては「6ヶ月も待てない」と当時思いましたが、今となってはただの過去…。

ブログ見させていただきました。このエッセイは最近(ここ2~3年)のお話かと思っていたのですがSF暮らし、かなり長いんですね。お子さんもずいぶん大きくて驚きました。

ブログとエッセイ、これからも楽しみにしてます。また立ち寄らせていただきますね♪
[2012/03/27 23:26] URL | Sweetie #EGzluE3Y[ 編集] | page top↑
そんなんですか。イギリスにも据え置き期間があるんですね。
考えてみれば、日本の離婚って簡単ですよね。確か、2人か3人の証人と実印があればその場でできたと思います。それでいて、手続きが複雑な方が離婚が多くて、簡単な方が少ないのは面白いですね。

このエッセイは、わたしがサンフランシスコで暮らし始めた頃のものを書いてたもので、今まで自分のウエブサイトにのせていたものです。最近ブログを書き始め、それなら一緒にと、こちらのサービスに移しています。
気軽な読み物を通して、同じ境遇で大変な思いをされている方など、シェルターや社会のサポート体制の紹介になったらいいと思います。

また、お立ち寄りくださいね♪
Hiroko

[2012/03/28 02:49] URL | Hiroko #faSP5sZQ[ 編集] | page top↑
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