エピソード17
 家賃が上がった。

それも信じられないくらい‥。


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 朝、まだ眠気のさめやらぬぼーっとした頭でポストを開けると、レンタルオフィスから何かの通知の封筒が入っていた。

「エーッ、何だろう?先月の家賃はちゃんと払ったよなあ‥?」

ぶつぶつ独り言を言いながら封を開け、中身を読んでびっくり!

'Dear resident' なんて優しい書き出しではあるものの、その後には思いっきり太字で、『再来月から、家賃を$350上げるからよろしくね!』 なんて事が、爽やかにさらっと書いてあるではないか。

『おいおい、ちょっと待てえ!$35の間違いじゃあないのオ?』

果無い期待の中で、何度もそのお知らせを読み返してみた。‥しかし、しっかり『桁』は間違ってはいなかった。とほほ。

寝惚けた頭に心地よく残っていたコーヒーの余韻も一瞬にして吹き飛び、かなり朝からショックな気分。もうコーヒーを飲みなおす気にもなれやしない。
何だか二倍に損した気分になってくる。

とにかく、ここサンフランシスコの家賃は高い。
まあこれは家賃だけに限らずに、生活費全般に於て言えている事なのだろうだけれど。

やはりこの、ブログ, エッセイ, シングルマザー, 海外生活, 人気のブログ, 注目のブログ, 話題のエッセイ, カリフォルニア生活, アメリカ生活, ノンフィクション, 現代画家, 人気, アーティスト, サンフランシスコ, フェースブック話題の人, 話題の人, 海外の日本人アーティスト, サンフランシスコハウス, サンフランシスコ家, ビクトリアンハウス, サンフランシス住宅, 住宅、シティーライフ, 外国の家アメリカの中でもエキサイティングでスリルとサスペンスに満ち溢れた街サンフランシスコ。生活費もそれに負けず劣らず、エキサイティングでスリルとサスペンスに満ち溢れている。

ちなみに言うと、ウチのアパートメントなんて決して贅沢しているわけでもなく、日本で言うワンルームタイプの小さなステューディオを借りている。
それでも今現在の家賃で$1095!

その金額でさえ、今は爪に火を灯しながら払っている状態なのに、このお知らせによると、再来月からはさらに$350プラスの$1450になるという。
いったいこんな金額、誰が払えたりするのだろう‥。
ショックもここまで来てしまうと、もうただヒトゴトのように感心してしまう他しょうがない。

しかし、言わずもがな、実際にはこんなひと事のように暢気な事を言って感心している場合ではないのだ。
最近、ここサンフランシスコで見慣れてしまった風景の一つに、気楽なホームレスの『乞食』の存在がある。段ボールの切れ端に、半分ふざけたようなニコちゃんマークと『ハングリー!』なんて書いたプレートを持って、足元に置いた紙コップと一緒に一日中そこらの道端に座り込んでいる。

これがまた、若者も結構いたりしてしまうのだから驚いてしまうのだけれど、正直こんな通知を手にした日には、外のストリートでうろつく彼らの姿も、『明日は我が身』に思えてくる。

 

 ところで『若者のホームレス』といえば、毎日お猿のデイケアの送り迎えに通るちょっと怪しめのゲイのストリート、ポーク・ストリートでは、もう『そこに住んどんのかい!?』といった感じの若者たちが、いつ通っても、同じ店先にたむろして座り込んでる。
隅っこには毛布や布団も置いてあったりして、朝の早い時間などにそこを通ると、カップルで抱き合いながら汚い布団に包まって寝ていたりなんかする。

ちなみに、三日前の朝にはこのカップル、おそらく店の主人から苦情でも出たのだろう、チャリのポリスにしっかり尋問されていた。しかし次の日にそこを通ると、今度は隣の店先に場所を移して同じ事をやっていた。うーん、なかなか‥。

そんな彼らをみていると、いつも不思議に思う事がある。
それはいったいそのホームレスもどきのスタイルを、本当に貧乏でやっているのか、それともお金持ちの道楽息子・娘たちが、少し遅れた反抗期の中、趣味でやっていたりするものか、実際計りかねる物がある。

まるで60年代後半のヒッピーの現代バージョンのような格好をして、パッと目には汚いのだけど、よく見ると、さり気なく被ったキャップなどが、ブログ, エッセイ, シングルマザー, 海外生活, 人気のブログ, 注目のブログ, 話題のエッセイ, カリフォルニア生活, アメリカ生活, ノンフィクション, 現代画家, 人気, アーティスト, サンフランシスコ, フェースブック話題の人, 話題の人, 海外の日本人アーティスト, ホームレス, 若者のホームレス, 若者, 文化, ファッション, 流行, ヤングの流行, 今時のファッションなかなか彼ら独特のファッションへのこだわりを示している‥ようにも見える。

中には立派な闘犬用の首輪をはめた大きなボクサーを一緒に連れているヤツもいたりして、見方によっては、究極のストリートファッションと呼べるような呼べないような?

そんな彼らを一絡げにして原宿なんかに立たせてみると、その独自性と怪しさが、かえってお洒落に映ってしまうような感が無きにしもあらず。
うーん、謎は深まるばかり‥。

 

 ‥だからァ、そんな風に悠長に、ホームレス観察にかこつけた現実逃避などをしている場合じゃないのだ。
ぼやぼやしてるとそんな謎など解けないままに、確実に彼らの姿は『明日の我が身』の姿になる。

早速部屋へ戻るなり、このアパートメントを紹介してくれた日本人のエージェントに電話をかけて泣き付いてみた。
しかし、そこでさらりと言われた事は、このサンフランシスコの家賃、今はどこでも日本のバブル状態に習って、どんどんどんどん‥『おーい!いい加減にしろ!』ってな感じで上がりまくっているのだそうだ。ウチなんてまだいい方だそう。うーん‥。

しかしそうは言っても、たった一部屋のアパートメントに、月々$1450の家賃?
こんなことって、一体お天道様が許してくれることなのだろうか?

 

 そんな朝一番のびっくり箱で始まった今日の一日、午前中にはお猿のデイケアの更新で、カソリックチャリティーの事務所を訪れる日だった。
面接が始まって開口一番、今朝受け取りたてホヤホヤのそのシュールなお知らせをビーシーに見せてみた。

ちなみにこのフィリピン人の彼女、血液型を言うと、私は勝手に『絶対にO型だ』と思っている。何だか妙にあったかいド迫力のあるおばさんで、何がその迫力かと言うと、例えばこのビーシー、時々澄ました顔をして 'bull shit' などと悪態をかましてくれるのだ。
『確かここ‥、彼女がいるのは厳格なカソリックの集まりであるはずでは?』
最初はそういった疑問の中、ビーシーの口から過激な言葉が飛び出すたびに、全ては私の未熟な英語の聞き間違いのせいで、何か違った単語がそういう風に聞こえてしまうのだろうと思っていた。
しかしどうやら私の耳は、やはりちゃんと正常に機能していたようである。
今日もこのお知らせを手にした途端、彼女の口からは華々しく『その言葉たち』が何度も連発して飛び出して来た。

 

 面接が始るや否や、今日もビーシーは熱かった。

一通り、その私が差し出したお知らせに目を通し終えた後、彼女は、息も荒く奥に引っ込んだかと思うと、直ぐにまた、分厚い電話帳と様々な機関のパンフレットを両手一杯に抱えて戻って来た。
そうしてその資料の山と一緒に一番奥の大きな机の前にデンと腰を落ち着けたかと思うと、そのまま手当り次第、あちこちに苦情の電話をかけ始めた。

受話器に言葉をぶつけるようにして話す彼女の『ドスコイパワー』を間近に見ていると、その電話の向こうにいる人たちに同情の念を禁じ得ない。

そうして何本か立て続けに公共の相談機関に電話をした後、彼女は、今度は直接アパートメントの事務所に電話をかけた。電話を受けたマネジャーが言うには、今朝通知を出してから、事務所にはもう中国人の住人達から嵐のような苦情の電話が鳴り続けているのだそうだ。

ウチのアパートメントの建物は、ダウンタウンの中でもセキュリティーのシステムが整っていて、結構ー私を除いてはーお金を持っている感じのアジア系の住人が多く住んでいる。エブログ, エッセイ, シングルマザー, 海外生活, 人気のブログ, 注目のブログ, 話題のエッセイ, カリフォルニア生活, アメリカ生活, ノンフィクション, 現代画家, 人気, アーティスト, サンフランシスコ, フェースブック話題の人, 話題の人, 海外の日本人アーティスト, レントサイン、部屋探しントランスですれ違うのも、半分以上は日本人の学生やアメリカ留学中の韓国人、中国人などである。
しかし、そんなバラエティーに富むアジア系住民たちの中で、文句を言いまくっているのが『中国人に限って』というのはなかなか面白い。お国柄によって,こうした問題への反応も様々に違うようである。

‥まあそんな無駄話はさておいて。

こうして話を聞いていく内に、結局このサンフランシスコの家賃の上昇率というのは、1978年以降に建てられたアパートメントについては法的規制が何も無いという結論に行き着いた。
それを確認するとビーシーは、まるで私よりも落胆した様子で受話器を置いた。

 

 結局今日の調査の中で、問題の解決は何も得られることはなかった。
しかしその裏側で、私の心が得たものはとても大きなものだったと思う。
ひと事なのにも関わらず、これ程一生懸命になって自分を助けてくれようとするビーシーの姿を見ていると、人として掛け替えのない、大切な何かを教えてもらえたような気がした。

サンフランシスコに来てから私の生活は,様々な人種の人たちと関わらずには毎日を送れなくなってしまった。
最初のうちはその肌の色や習慣の違いに、毎日泣きたくなる程の疎外感に悩まされる日々だった。

しかし、そんな手探りの戸惑いの中でも、日々接点を重ねて行くうち、異質な外側の殻の下にある根っ子の部分は、案外私の中にある物からそうかけ離れてはいないということが見えてきた。

暑さを感じる、寒さを感じる。空腹を感じる、眠たさを感じる。
怒る、笑う、喜ぶ、泣く。
そして誰かを愛して行く‥。

どんな人間の中にもまずそうやって、共通に感じ合える芯がある。

フィリピン人でも日本人でも、マライ人でもパプアニューギニア人でも、皆、その中心には『感じる』というものを持っていて、そこから伸びて来る枝葉たちが、ただ単に、表面に現れて来る様々な違いを作り出して行っているに過ぎないのだ。文化や背景の違いの中で表現の仕方や感じる量が変わるとしても、結局中心の基本には、皆が同じ物を持っている。

漠然とそんな物が掴めて来ると、肩の力がふっと抜けた。

そうして一つハードルを越えてしまえば、今度はかえってその違いが面白くなって来る。そこまで来ると、後はもう、ただ自然に息をしていればいブログ, エッセイ, シングルマザー, 海外生活, 人気のブログ, 注目のブログ, 話題のエッセイ, カリフォルニア生活, アメリカ生活, ノンフィクション, 現代画家, 人気, アーティスト, サンフランシスコ, フェースブック話題の人, 話題の人, 海外の日本人アーティスト, 旗, 各国の旗, いろいろな国の旗, ホテル入り口, 観光, 人種, 世界, 人種のるつぼ, 人種のサラダボールい。

何しろ、このサンフランシスコの街のように、これ程様々に異なる人種がそれぞれ独自のスタイルを守りながら一所でごった煮のようにして共同の生活を作り出している都市は、まだまだ世界にはそう多くはないのだから。

アラビアンナイトのようなベールで顔を隠した中近東の女性が黒ずくめの民族衣装で横を通り過ぎても、誰も珍し気に振り返って見る人はいない。白人女性がスキンヘッドで決めていようが、ゲイのカップルが男性どうしで仲良く手を繋いで歩いていようが、それは皆その人たちの自由だと受け止める寛容さがここにはある。

 

 今までになく『熱かった』今日のミーティング、ふと気がつくと一時間の枠は大幅に延長してしまっていた。ランチタイムを削っては悪いと、肝心のデイケアの話もそこそこにバタバタ帰り支度を始めた私に向かって、ビーシーが最後に思い出したように言った。

「ああ、そうそう‥、今度はあんたが『チャンネル4』に電話してごらん。」

『チャンネル4?』

それは何かと聞いてみたら、今サンフランシスコで人気のあるテレビ番組の一つで、一般視聴者から寄せられた社会の苦情をオンエアで話し合う番組なのだそうだ。

「ああそれよりも、あんたそんなに美人さんなんだから、もうこんな問題で頭悩ましてるよりは、家賃払ってくれるリッチなボーイフレンドでも見つけたほうが早いんじゃないの?」

「‥‥。」

こんなことを真顔で勧めてくれる愛すべきビーシー。
それでも一応『厳格な』カソリック組織のケースワーカーなのである。うーん‥。

 

 さて、明日からはアパートメント捜しを始めよう。

毎日一つ、未知のドアが開いて行く。

次に自分を待っている新しい何かにドキドキしながら、このサンフランシスコの時間を歩いて行こう。

 

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[2012/04/06 13:14] | エピソード | トラックバック:(0) | コメント:(0) | page top↑
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