エピソード13
 七月も半分過ぎたサンフランシスコ。ここしばらくは少しづつ気温も上がって来た。


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‥とはいうものの、時々はまだ肌寒さを感じる日が続いている。
特にこの街は、寒流の流れる海のすぐ側という事もあって、場所によって気温もまちまち、どこへ行くにもジャケットは手放せない。

基本的に、サンフランシスコの街を歩く人たちの季節感というものはてんでバラバラで、そこには協調性の欠片さえも見られる事がない。タンクトップと短パンだけで道を歩いて行く人がいれば、夏なのにレザージャケットを着込み、その上にマフラーまで首に巻いてる人もいたりする。

そもそも彼らの体感温度という物からして、本当に驚く程バラバラのようだ。
白人の友人と車に同乗したりすると、こちらが凍える北極状態にいる時に、相手からは『暑いから窓を開けるよ』なんて汗だくで言われるミラクルワールド。そんな奴らは、もはや南極でペンギンとでも連れ合っていて欲しいものである。

七月と言えば、私が始めてサンフランシスコに来たのが丁度去年の今頃だった。
時間の経つのは本当にあっという間だ。

 

 今日は、久し振りにシェルターを訪れた。
そこで過ごした時間の中で、ドネーションから助けて頂いた服に加えて、自分が着なくなった服やベビー服を詰め込んだ大きな旅行バックを抱え、ミュニに乗ってそれらを返しに行って来た。

別に、ドネーションで貰った服なんて返さなくていいと言えばそうなのであるけれど、しかし、トランク一つでヘイワードから逃げ出して来た時、最初は着る物さえロクにはなくて、それをこんな風にして助けて頂いた服やベビー服は言葉に出来ない程有り難たかった。

あれから一年の時間が経って、今、こうして新しい生活を始めた自分がいる。
その時間の後ろには、今まだ実際にシェルターで暮らす一年前の『自分』がいるのだ。
そんな事を考えながら、やはり助けて頂いた服は全部返しに行く事にした。

 

 シェルターの場所はその秘密主義が完璧に守られていて、私も普段特別な用事が無い限り, 極力近付く事を遠慮している。
今日もそこに近付く程に、胸の中に複雑な思いがざわめいた。

シェルターの建物が見えて来ると、そこでは丁度、ボランティアの人たちが食料を中に運び込む作業の真っ最中だった。
手分けをして買い込んで来た食品を、車の中からバケツリレーをするようにして次々に中に運び込んでいる。

懐かしさとともに哀しみが胸に走る。
そこで過ごした過去の時間が頭にフィード・バックされて来た。

今なお暴力の犠牲になって、遠い異国の地で行く所もないまま、小さな子供の手を引いてシェルターに駆け込んで来るアジア人女性は後を断たない。
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『日本人の女性が来週逃げて来るから、またこれから忙しくなるのよ。』
先日の弁護士とのミーティングで、通訳のヨーコさんの口からため息が漏れた。
大きなトランク一つに、まだちっぽけだったお猿の入ったカーシートだけを抱え、ただ必死でヘイワードから逃げ出して来た自分の姿がそれにダブる。

遠い外国の街でたったひとり、右も左も分からなかったサンフランシスコ。死んでしまいそうな心細さに押し潰されそうになりながら、シェルターのスタッフのピックアップを待ってジャパンタウンの冷たい階段に腰かけていたあの時の自分。

シェルターに入って初めての夜、見知らぬベッドにお猿を寝かせつけた後、トイレに隠れて思いっきり泣いた。悲しいのか、安心したのか、惨めなのか、やっと自分に戻れたのにホッとしたのか‥、全くこれから自分がどこへ向かうのかも見えない恐怖。ただ、その時に感じた、体が崩れ落ちて行くような不安を今でもはっきり覚えている。

 

 今、私はここにいる。
不安も恐怖も、あの時勇気を出して足を外に踏み出した瞬間が、こうして今、私が私でいられる新たな時間のスタートだった。

こんな風に笑ってコンピューターに向かえるのも、温かい部屋でビールを飲んでいられるのも、このとんでもなく遠い異国の地で私が出会えた小さな力の集まりのおかげだと言う事を忘れずにいよう
私もこれから有形なり無形なり、今までお世話になった事学んだ事を少しでもお返しして行きたい。非力ながらも、一年前の私と同じ状況にいる人たちの助けになっていけたら‥、そう思う。

 

 とにかく、トランク一で新たなスタートを切ったこの人生。前を向いて頑張るしかない!

明日はまた新しい一日が始まる。

 

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[2012/04/01 11:24] | エピソード | トラックバック:(0) | コメント:(0) | page top↑
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